うだるような猛暑期に、爽やかな花を次々と咲かせる元気な樹木・芙蓉(フヨウ)。日本では「夏を代表する花木」として、古くから庭木や垣根などに植栽され親しまれています。
芙蓉の花は「日本の美の象徴」にも例えられることも多く、花言葉も美しくて情熱的な言葉が揃っているんですよ。
ここでは芙蓉の花言葉や由来、美の象徴に関する逸話、品種や育て方など、芙蓉の魅力をたっぷりとお届けします。
芙蓉(フヨウ)の花言葉
まずは、芙蓉の花言葉と由来から見ていきましょう。
芙蓉の花言葉・由来・意味
芙蓉の花言葉 | しとやかな美人、繊細な美、妖艶、幸せの再来、熱い思い、富貴 |
芙蓉の花言葉は、2つの種類に分けることができます。花の美しさを表現した花言葉が「しとやかな美人」「繊細な美」「妖艶」。
次から次に何度も新しい花を咲かせる姿を表現した花言葉が「幸せの再来」「熱い思い」「富貴」です。どの言葉も美しく、情熱的ですね。
前述したように、芙蓉の花の美しさはたびたび「日本の美の象徴」に例えられ、あの富士山にも芙蓉にちなんだ雅称が付けられているんですよ。詳しくは「花言葉に関する逸話」で紹介します。
芙蓉はどんな花?
芙蓉は、梅雨の終わりから秋にかけて開花する落葉低木樹です。樹木の高さは2ⅿ~3ⅿほどで、花径は10cm程度。ハイビスカスに良く似た白やピンクの花を咲かせます。
花の命は短く、朝に咲いた花は夕方か翌日にはしぼんでしまいます。しかし、新しい花が次から次へと咲くので、長期間花の鑑賞が楽しめます。
オリジナルキャッチコピー
白や桃の浴衣に身を包み 夏を楽しむ和の美人
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10月/10月17日/11月/11月10日/11月6日/8月/8月25日/8月27日/8月5日/9月/9月10日/9月14日/9月3日/9月8日/「別れ」を意味する花言葉を持つ花/「努力」を意味する花言葉を持つ花/「幸せ」を意味する花言葉を持つ花/「恋」を意味する花言葉を持つ花/ガーデニングに使いたい花/ピンク色の花言葉/庭に植えたい木/白い花の花言葉/記念樹にしたい木/野原で観察したい花/
花言葉に関する逸話「美の象徴」
芙蓉の花言葉「しとやかな美人」「繊細な美」「妖艶」。どれも花の美しさがうまく表現されていますよね。
たびたび「美の象徴」として例えられる芙蓉ですが、実はあの名峰・富士にも芙蓉にちなんだ雅称(趣のある呼び名)が付けられているんですよ。
富士山の雅称・芙蓉峰(フヨウホウ)
芙蓉峰を直訳すると「美しい峰(山)」。日本の中で最も美しいのは、やはり富士山ですよね。美しい芙蓉の花と富士山がかけられ、「芙蓉峰」という美しい雅称が付けられました。
芙蓉峰のほかにも、
- 芙蓉の顔(ふようのかんばせ)…顔が美しいこと
- 芙蓉の眦(ふようのなまじり)…目元が美しいこと
このような使い方もされています。美の象徴ともされる芙蓉の花、自宅の庭で堪能してみてはいかがですか?
芙蓉(フヨウ)の種類・近品種
芙蓉にはいくつかの種類や近品種があり、それぞれ魅力的な特徴を持っているんですよ。その中から、特に人気がある種類・近品種を紹介します。
花言葉は「華やかな生活」アメリカフヨウ
芙蓉という名前がついていますが、樹木ではなく草花に分類されているアメリカフヨウ。花言葉は「華やかな生活」です。7月~9月頃に20cm~10cmほどの大輪の花を咲かせます。
花言葉は「優しい感受性」頷き姫芙蓉(ウナズキヒメフヨウ)
真紅の花は終日閉じたまま、蕾の状態を楽しむ常緑低木樹、姫芙蓉(ヒメフヨウ)。別名「姫仏桑花(ヒメブッソウゲ)」とも呼ばれています。花言葉は「優しい感受性」です。
花言葉は「心変わり」酔芙蓉(スイフヨウ)
朝は白かった花が、夕方にはピンク色に変わる酔芙蓉(スイフヨウ)。酔って顔色が変わった人に例えられ「酔」という漢字が当てられています。花言葉は「心変わり」。花の色が変わる様子にちなんでいます。
芙蓉(フヨウ)に似た花はある?違いや見分け方は?
花木の中には、芙蓉に似た花を咲かせるものがあります。特にアオイ科の植物は、花がそっくり。芙蓉に似た花と花言葉を、芙蓉との違い・見分けるポイントと併せて紹介します。
花言葉は「新しい恋」ハイビスカス
ハワイや沖縄など、南国で見かけることが多いハイビスカス。花言葉は「新しい恋」です。
【芙蓉との違い・見分けるポイント】
- 花の色が鮮やかなものが多い。赤や黄、オレンジなど。
- 雌しべや雄しべに鮮やかな色が付いている(芙蓉の雄しべや雌しべは白)。
- 葉にツヤがある。
花言葉は「信念」ムクゲ(木槿)
最も芙蓉と酷似しているのがムクゲ(木槿)ではないでしょうか。花言葉は「信念」になります。
【芙蓉との違い・見分けるポイント】
- 雌しべが真っ直ぐについている(芙蓉の雌しべは上を向いている)
- 葉が花よりも小さく、葉色が濃緑色(芙蓉の葉は花と同じくらい大きく、色は薄緑)
花言葉は「悲しく、そして美しく」ハマナス(浜茄子)
アオイ科ではなくバラ科に属するハマナス(浜茄子)。花言葉は「悲しく、そして美しく」です。
【芙蓉との違い・見分けるポイント】
- 海岸などの砂地に自生していることが多い(芙蓉は砂地では育たない)
- 葉はバラの葉に似ており、縁が波打っている(切り込みがある)
- 茎に細かいトゲがある
芙蓉(フヨウ)の花の育て方・水やり・管理方法
芙蓉の基本的な育て方を紹介します。芙蓉は横に大きく広がる樹木ですので、場所をしっかり考慮してから植え付けてくださいね。
苗木の植え方・植え付け時期
芙蓉は大きく育つので、鉢植えではなく庭植えで育てることをおすすめします。植え付けに適した場所は、日当たりが良く、極端に乾燥しない場所。また、半耐寒性なので北風が当たらない場所がおすすめです。
植え付け時期は、寒さが和いだ後~梅雨が来る前の3月下旬~5月下旬まで。植え穴に腐葉土やたい肥をなどを混ぜ込み、根が付きやすい状態にしてから植え付けましょう。
水やり・肥料・剪定
植え付けてからしばらくの間は毎日水やりを行い、根をしっかりと張らせましょう。根づいたあとは雨水だけで育つようになりますが、晴天・乾燥が続く時には水を与えてください。
肥料は特に必要ありませんが、花付きを良くしたい時には7月~9月に緩効性肥料を少しだけ(基本量の半分以下)施しましょう。
芙蓉の花芽は春先に伸びた新しい枝につきますので、剪定は必ず落葉期に行ってください。時期が遅いと花が咲かなくなる恐れがあるので要注意です。
花が終わった後は「枯れ芙蓉」を楽しもう
芙蓉の花は、夏が終わり、気温が下がると共に開花時期が終わってしまいます。しかし、その後にも、楽しみは待っています。花が終わった後の楽しみ方、越冬方法を紹介しましょう。
実の姿を楽しむ「枯れ芙蓉」
花が終わった後に出来る芙蓉の実は、形が丸く、ふわふわした綿毛のようなものに包まれています。枝先に丸い実をつけた芙蓉の樹形は「枯れ芙蓉」と呼ばれ、この姿を楽しみにしている人も多いようです。
乾燥した実は、次のような楽しみ方ができます。
- 茎ごと切ってドライフラワーに
- リースの素材に
- オブジェや飾り物など、秋を楽しむ素材に
他にもアイデア次第で、様々なアレンジ法がありそうです。花が終わった後の「枯れ芙蓉」、ぜひ楽しんでくださいね。
越冬方法
半耐寒性の芙蓉は、寒冷地では地上部が枯れてしまうことがあります。雪や霜で株が枯死しないよう、腐葉土等でマルチングし防寒対策を行ってください。
芙蓉(フヨウ)の特徴・名前の由来・誕生花
最後は、芙蓉の基本情報です。英語名や誕生花、名前の由来などを紹介します。
基本情報・英語名
目・科・属 | アオイ目・アオイ科・フヨウ属 |
和名・英語名 | 芙蓉(フヨウ)、木芙蓉(モクフヨウ)・Cotton rosemallow |
開花時期 | 7月~10月 |
花色 | 白、ピンク |
原産国 | 日本、台湾、中国 |
芙蓉はいつの誕生花?
芙蓉が誕生花に当てられている日にちは、8月5日、8月25日、8月27日、9月3日、9月8日、9月10日、9月14日、10月17日、11月6日、11月10日です。
名前の由来・意味は?
中国で「蓮の花」のことを「芙蓉」と呼んでいることが語源です。芙蓉と蓮の花が良く似ていることが由来となり、日本では「芙蓉」と呼ばれるようになりました。
「芙」という漢字は、人名にも良く使われています。「蓮の花のように清らかに美しく育つように」という願いが込められ、とりわけ女の子の名前に多く使用されているようです。