春になると、沿道に赤やピンクの彩りを添え始める花木・さつき。街路樹としてだけでなく、庭木、生垣、盆栽など、古くから「日本の春に欠かせない植物」として愛され続けています。
さつきの花言葉も日本人の精神に寄り添った言葉が多く、厳しい環境下で耐え抜く姿を由来した花言葉に共感する人も多いのではないでしょうか。
ここではさつきの花言葉とその由来や、さつきの楽しみ方、また間違われることが多いさつき・つつじ・シャクナゲの見分け方など、盛り沢山の内容でお届けします。
さつき(皐月)の花言葉
それではさっそく、さつきの花言葉を見ていきましょう。
さつきの花言葉と由来
さつきの花言葉 | 節制、貞淑、節約、幸福、協力を得られる |
さつきは岩肌や渓流の傍らなどに自生し、厳しい環境に耐えながらも美しい花を咲かせます。その姿から「節制」「貞淑」といった花言葉が付けられました。
同じように、「節約」も「厳しい環境に耐える」という姿から連想された花言葉になります。
「幸福」「協力を得られる」は、渓流に流されないよう岩や地面の土が支えてくれることに由来しているようです。
言葉のどれもが古き良き時代の日本人の精神に共通しており、さつきの花が愛され続けている理由を物語っているように感じますね。
オリジナルキャッチコピー
厳しさを貫く美学 忘れかけた精神をいま呼び起こす
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花言葉に関する逸話「乾燥地に生きる植物」
さつきと似た花のひとつにアザレアがあります。アザレアはさつきと同じツツジ属の仲間であり、主に海外から輸入されたツツジ属を総称して「アザレア」と呼んでいます。
アザレアの花言葉は「禁酒」「節制」「自制心」
さつきと同様、アザレアも乾燥地帯の厳しい環境でも育つ性質を持っています。乾燥を英語でいうと「DRY」。
DRYには「禁酒」という意味もあることから、「禁酒」「節制」「自制心」という花言葉が付けられたそうです。
厳しい環境下で生きるさつきにも「節制」「節約」という花言葉がついていますね。花言葉だけ聞くと良いイメージではない言葉ですが、花言葉の背景を知ると花の見方も変わってくるのではないでしょうか。
寄せ植えやプレゼントに…さつきの楽しみ方
和風の庭や生垣・街路樹に利用されることが多いさつきですが、その他にも様々な楽しみ方ができるんですよ。
- 生け花や切り花…オーソドックスで簡単な楽しみ方です。花が咲いている枝を切り落とし、花瓶や花器に活けましょう。
- 盆栽…浅い鉢に植え付け、大きく育たないよう仕立てる方法です。高度なテクニックが必要になります。
- 寄せ植え…大きめの鉢を用意します。花色が違うさつきを一緒に植えたり、季節の花苗(ただし、さつきと同じ酸性土壌を好むもの)を植えたり、様々な組み合わせが楽しめます。
- プレゼント…さつきの鉢植えに花言葉「幸福」を添え、親しい人にプレゼントしてみてはいかがですか?春に開花するので、母の日や父の日の贈り物にもおすすめです。
さつき・つつじ・シャクナゲの違いは?
同じツツジ科ツツジ属の仲間であり、花の容姿が似ているさつき・つつじ・シャクナゲ。それぞれの特徴を見ていきましょう。
花言葉は「慎み」つつじ(躑躅)
さつきと間違われることが多いつつじ(躑躅)。さつきとの見分け方や違いは、
- さつきよりも早く開花する(4月~5月)
- 花径が5cm~7cm(さつきは3cm~5cm)
- 葉はさつきよりも大きい。光沢が無い。表面に毛が生えている。
- さつきが1週間くらいかけながら満開になっていくのに対し、つつじは一気に花が開花する
このような違いがあります。花言葉は「慎み」「節度」です。
花言葉は「威厳」シャクナゲ(石楠花)
つつじやさつきよりもゴージャスな花を咲かせるシャクナゲ(石楠花)。さつきとの違い・見分け方は、
- 開花時期は4月~5月
- 葉が肉厚で裏に毛が生えている
- つつじやさつきよりも雄しべの数が多い(10本~15本ほど)
- 花が5輪~10輪ほどまとまって咲く
石楠花の花言葉は「威厳」。高山に生息することから、通称「高嶺の花」とも呼ばれています。
さつき・つつじ・シャクナゲ、大きな違いは葉の特徴
さつき・つつじとシャクナゲの違いや見分け方を紹介しましたが、1番の違いは「葉」です。さつきの葉は光沢があり、つつじやシャクナゲよりも小さく、緑色が濃いのが特徴です。
また、ツツジが花が咲いてから葉が出てくるのに対し、さつきは花よりも先に新芽が息吹きます。
葉の特徴さえ覚えておけば、花が無い時期でも見分けることは容易です。迷った時には、葉をチェックして見分けてくださいね。
記念樹にもおすすめ!和風の庭におすすめの樹木と花言葉
さつき以外にも、和風の庭園や生垣に合う花はたくさんあるんですよ。その中から、記念樹としても植えられるおすすめの植物と、その花言葉と共に紹介しましょう。
花言葉は「華やかな恋」ハナミズキ
桜の花が終わる頃、白やピンクの花を咲かせだすハナミズキ(花水木)。花言葉は「華やかな恋」です。花が咲く時期も美しいのですが、落葉期の樹形も趣があります。
花言葉は「雄弁」サルスベリ(百日紅)
夏の猛暑にも負けず、可愛らしい花を元気に咲かせるサルスベリ(百日紅)。猿でも滑り落ちそうなツルツルした樹幹が特徴です。花言葉は「雄弁」になります。
花言葉は「大切な思い出」カエデ(楓)
秋になると葉を真っ赤に紅葉させ、見事な風景を映し出すカエデ(楓)。花言葉は「大切な思い出」です。秋の風景も美しいのですが、春の新緑もとても素晴らしく見ごたえ抜群です。
花言葉は「控えめな素晴らしさ」ツバキ(椿)
冬の代表的な花木と言えば、やっぱりツバキ(椿)ですよね。花が少ない冬の時期に赤やピンクの花を咲かせ庭を彩ってくれます。花言葉は「控えめな素晴らしさ」です。
さつきの育て方・水やり・管理方法
さつきは、日本原産の植物です。日本の気候に適応するので大変育てやすいのですが、花付きを良くするためにはいくつかのポイントがあるんですよ。
さつきの苗木の植え方・植え付け時期
さつきの苗木の植え付けに適しているのは、3月下旬~6月中旬、または9月下旬~10月下旬になります。
【鉢植えでの育て方】
- 苗木に付いている土を半分ほど落とし、株よりも一回り大きな鉢に植え付けます。
- さつきは酸性土壌を好みますので、使用する土には気を付けましょう。おすすめは、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:未調整ピートモス=5:3:2の割合で混ぜたものです。
- 春と秋は日当たりが良い場所、夏場は半日陰、冬場は日当たりが良く北風が当たらない場所で管理してください。
【庭植えでの育て方】
日当たり・水はけが良く、夏場は半日陰になる場所がベストです。深植えにならないよう注意し、植えた後はたっぷりと水を与えましょう。
乾燥に注意!さつきの水やり
さつきは乾燥に弱い性質がありますが、通気性が良い土を好みます。水やりは過湿と乾燥に気を付けながら行いましょう。
【鉢植えの水やり】土が乾いてきたら、たっぷりと与えます。夏場は水切れしやすいので、朝と夕方の2回行ってください。
【庭植えの水やり】基本的に雨水だけで育ちますが、日照りが続き、空気が乾燥している時には水やりを行ってください。夏場は株元を腐葉土などでマルチングし、乾燥を防止しましょう。
さつきの肥料・剪定
鉢植え・庭植え共に、6月に御礼肥として緩効性肥料か油かすを与えてください。また、株の成長を促すために9月下旬に有機肥料か緩効性肥料を、2月頃に寒肥として緩効性肥料を与えるようにします。
剪定は、花が終わった直後に行いましょう。夏以降に剪定すると翌年の花芽を落としてしまう可能性があるので要注意です。
さつきの寿命について
植物の寿命は種類によって大きな幅があります。1年で枯れてしまう一年草や、2~3年ほどで枯死するものなど様々です。
さつきの寿命は70~80年といわれていますが、育てる環境によっては、もっと早くに命が終わってしまうものもあるようです。
- 葉が茶色く変色する
- 葉が落ちてしまう
- 幹の水分が無くなる
このような現象が表れたら、健康とはいえない状態になっています。ただし、枝先の方だけが枯て株元が生きている(先枯れ)可能性もあります。
枯れた部分を切り落とし、しばらく様子を見てみましょう。春に再生しなければ、寿命が訪れたと考えた方が良さそうです。
さつきの特徴・名前の由来・誕生花
最後は、さつきの基本情報です。英語名や誕生花、名前の由来なども紹介します。
さつきの基本情報・英語名
目・科・属 | ツツジ目・ツツジ科・ツツジ属 |
和名・英語名 | さつき(皐月)・Satsuki、Azalea |
別名 | サツキツツジ(皐月躑躅)、トケンカ(杜鵑花)、エイサンコウ(映山紅)、ロードデンドロン |
開花時期 | 5月下旬~6月中旬 |
花色 | 赤、ピンク、白、紫、複色など |
原産国 | 日本 |
さつきはいつの誕生花?
さつきが誕生花に当てられている日にちは、5月12日、5月19日、6月21日です。また、ピンク色の花を咲かせるさつきのみ、5月15日の誕生花に当てられています。
さつき・杜鵑花・映山紅・ロードデンドロンの名前の由来は?
さつき・杜鵑花(トケンカ)・映山紅(エイサンコウ)・ロードデンドロンの名前の由来は、次のようになります。
- さつき(皐月)…旧暦の5月(皐月:5月下旬~6月中旬頃)に開花することが由来
- 杜鵑花(トケンカ)…杜鵑(ホトトギス)が鳴き始める時期(渡来する時期)に開花することが由来
- 映山紅(エイサンコウ)…さつきが一斉に開花し、山を紅色に染める様子が由来
- ロードデンドロン…シャクナゲ(石楠花)の学名がロードデンドロン(Rhododendron)。ギリシャ語では「赤い花をつける木」を意味しますが、日本ではツツジ属の仲間のことを指します。