杏(アンズ)は、英名をアプリコットと言います。春に咲く薄紅色の花は美しく、杏の産地では花を見るツアーが毎年組まれる程。
初夏につける、梅に似た実は甘く、お菓子やジャムなどにも利用されます。花も実も楽しめる杏には、ちょっと奥ゆかしい花言葉がつけられているのはご存じですか?
この記事では、そんな杏の花言葉について、その由来や逸話などをご紹介します。
杏の花言葉
それではさっそく杏の花言葉を見ていきましょう。
杏の代表的な花言葉は「臆病な愛」「乙女の恥じらい」
杏の花全般の花言葉 | 臆病な愛、乙女のはにかみ、乙女の恥じらい、早すぎた恋、不屈の精神、慎み深さ、遠慮、気後れ |
杏の実の花言葉 | 疑惑、疑い |
杏の花全般をあらわす言葉には、「臆病な愛」「乙女の恥じらい」「慎み深さ」「遠慮」などがあります。杏も美しい花ですが、桜を主役として、目立たない脇役に徹するような、慎ましい印象の花言葉がつけられています。
杏の花のオリジナルキャッチコピー
恋に恥じらう乙女にも似た杏の花の甘い花びら。
類似の花言葉を持つ花はこちら
10月/10月2日/2月/2月23日/3月/3月1日/4月/4月12日/「切ない」意味の花言葉を持つ花/「恋」を意味する花言葉を持つ花/ピンク色の花言葉/白い花の花言葉/
杏の花言葉に関する逸話
杏の花言葉の由来は、どちらも開花の時期にちなむものです。
杏の花言葉「乙女の恥じらい」の由来は開花時期
杏の花言葉「乙女の恥じらい」については、こんな逸話があります。この花言葉の由来は、タイトルの通り、杏の花の咲く時期なのです。
杏の花は、桜より少しだけ早く咲きます。そのため、その咲く姿が、まるで恥じらったり、はにかんだりしているように見えたためだと言われます。
「早すぎた恋」も同じように「早すぎた開花」を意味しています。
杏の花言葉「不屈の精神」はどんな意味?
杏の花は、厳しい冬を耐えて、まだ寒さの残る早春に咲きます。冬の寒さに耐え、固い幹から花芽を出して花を咲かせるのは、私たちの想像以上に大変なこと。
そんな精神力をたたえて「不屈の精神」という花言葉がつけられたと言われます。
漢方薬「杏仁」に伝わる素敵なお話
中華料理のデザートでお馴染みの「杏仁豆腐」(あんにんどうふ)には、独特の風味づけに杏が使われています。
この「杏仁」という言葉は元々「きょうにん」と読む漢方だったのです。その「杏仁」に関してこんな話が伝わります。
「杏仁」のはじまり
昔々、中国の呉の国に「董奉(とうほう)」と言う名の名医がいました。董奉は貧しい患者からは治療代を受け取らず、杏の木を植えさせたのです。
やがてそれは杏の林になり、その種子は「杏仁」という漢方薬となって、人々を救いました。
このことから、中国では、杏の林を意味する「杏林」は医者の尊称(美称)の一つとなったと言われます。
漢方薬やお菓子やお酒にも使われる杏仁
杏仁とは、アンズの種子の中の「仁(さね)」のことで、苦い「苦杏仁(くきょうにん)」と甘い「甜杏仁(てんきょうにん)」があります。
苦杏仁は、主に生薬として薬用に使用。咳止めや痰切りに効果があるとされています。
甜杏仁は、中華デザートの杏仁豆腐や、洋酒のアマレットの材料として使用されます。
近縁のアーモンドの杏の「仁」とはよく似ていて、専門家でもなかなか区別がつけづらいそうです。
杏仁豆腐は、現在では杏仁の代わりに、アーモンドの仁で風味づけをすることがほとんどです。アマレットは杏仁を使用していますが、アーモンドのような風味だと言われています。
記念の花言葉と共に、杏の木を育ててみましょう!
花が美しく実もおいしい杏は、ぜひ家庭で育ててみたい果樹です。杏の育て方のポイントについてお伝えします。
開花と収穫の時期
杏の開花時期は、3月です。実が収穫できるのは6~7月。
杏の育て方
●植付け
時期・・・12~3月
日当り良好な場所を選びます。耐寒性は強く路地植OK。
自家結実(一本だけで実がなること)しづらいので、別の品種か、梅・桃・スモモなどの近縁種を一緒に植えること。
●土・肥料
水はけ、水もちよい土を使用。赤玉土7:腐葉土3を自分でブレンドしてもOK。
冬と秋に肥料を与えます。
●水やり
鉢植え・・・土の表面が乾いたら鉢底から流れるくらいとたっぷりと水やりします。
地植え・・・苗木のときや植付け直後以外は、ほとんど必要ありません。
杏を育てるポイントは?
・実を収穫するためには、一本だけなく、別の品種か近縁種を一緒に植えること。
・確実に実をつけるために、筆で人工授粉すること。
・日本の夏が苦手で、雨が多いと病気が多く、無農薬で育てるのは難しいとされます。
女の子の名付けに人気!植物のついた名前
杏と聞いて思い浮かぶのは、植物の名前であると同時に、女の子の名前としても、可愛い名前であること。素敵な花言葉のある植物の名前を、名付けの参考にしてみてはいかがでしょうか。
かわいい果物の名前「柚」「棗」の花言葉
●柚(ゆず)
晩秋から冬にかけて、香り高い黄色の実をつけます。漢字一字で女の子の名前でも、他の漢字と組み合わせて男女どちらでも使えます。
花言葉・・・健康美、汚れなき美人、恋のため息
●棗(なつめ)
健康に良いとされ、リンゴに似た風味のナツメ。漢字が難しいので、「夏芽」のほうが名付けにはオススメです。
花言葉・・・健康、若々しさ、あなたの存在は私の悩みを軽くします
美しい花の咲く「蓮」「蘭」などの花言葉
●蓮(れん)
極楽浄土に咲くとされ、仏教に縁の深い美しい花です。「れん」「はす」どちらで読ませてもOK。男女ともに名前に使われる文字です。
花言葉・・・清らかな心、神聖、雄弁
●蘭(らん)
「花の女王」とも呼ばれる美しく気品ある姿の蘭。花言葉も「美しい女性」を意味するものがほとんどです。
花言葉・・・美しい淑女、優雅、美
●菫(すみれ)
野山に可憐な花を咲かせるスミレ。「董子」と書いて「とうこ」と読ませるのも素敵です。
花言葉・・・謙虚、誠実、小さな幸せ
●葵(あおい)
夏に美しい花を咲かせる大型の植物・タチアオイ。花言葉には大望や豊かさと言った良い意味がつけられています。
花言葉・・・豊かな実り、大望、野心
響きがかわいい樹木の名前「楓」「梓」の花言葉
●楓(かえで)
カエデ属に属する植物の総称で、葉が掌型で秋に美しく紅葉するものが多いのが特徴です。
花言葉・・・大切な思い出、美しい変化、遠慮
●梓(あずさ)
古代の文献に登場する植物で、諸説あり、ミズメ、キササゲ、アカメガシワなどだとされています。
花言葉・・・夢心地、澄んだ心、忠実
素敵な花言葉を持つ、杏の仲間たち
杏は、梅や李とは近縁。近くに植えると、どんどん交雑してしまうと言われます。リンゴや桃などお馴染みのフルーツも、実は杏とそんなに遠い種類ではないのです。
そんな杏に近い仲間たちについて、花言葉も添えてお伝えします。
梅・李(スモモ)・桜の花言葉
●梅
まだ寒い時期に白やピンクの花を咲かせる梅。古代には「花見」といえば梅だったとされ、梅干しと共に、日本人の生活に密着した木です。
開花期・・・2~3月
バラ科サクラ属(スモモ亜属) 学名:Prunus mume 英名:Japanese apricot
花言葉・・・高潔、忍耐、不屈の精神
●李(スモモ)
早春に白い清楚な5弁の花を咲かせるスモモ。桃に似た果実が桃より酸っぱいために「酢桃」と名付けられたのが名前の由来です。
開花期・・・3~4月
バラ科サクラ属(スモモ亜属) 学名:Prunus salicina 英名:Japanese plum
花言葉・・・誤解、甘い生活、困難
●桜
春に淡いピンクの花を咲かせる桜は、日本の春を代表する花。散り際の潔さが「精神の美」を表現するとも言われます。
開花期・・・3~4月
バラ科サクラ属 学名:Prunus(Cerasus) 英名:Cherry blossom
花言葉・・・精神の美、優美な女性、純潔
桃・梨・林檎の花言葉
●桃
桃の節句を彩るピンクの華やかな花と、夏に出回る甘い実。花は美しく実は美味しい、ぜひ育ててみたい木の一つです。
開花期・・・3~4月
バラ科モモ属 学名:Amygdalus persica 英名:Peach
花言葉・・・チャーミング、気立ての良さ、私はあなたのとりこ
●梨(ナシ)
秋にみずみずしい果実を味わう梨は、桜より少し遅い4~5月に、美しい白い花を咲かせます。日本の梨・西洋梨・中国梨がありますが、花言葉は共通です。
開花期・・・4月
バラ科ナシ属 学名:Pyrus pyrifolia 英名:Nashi Pear
花言葉・・・和やかな愛情、博愛、愛情
●林檎(リンゴ)
桜が終わる頃、薄紅の蕾から白い可愛らしい花の咲くリンゴ。アダムとイブが食べた「禁断の果実」にも登場するなど、世界的に古くから伝わる果物です。
開花期・・・4~5月
バラ科リンゴ属 学名:Malus pumila 英名:Apple
花言葉・・・最もやさしき女性に、永久の幸せ、選ばれた恋
杏の特徴や英語名・花の名の由来
杏の花の基本情報です。
基本情報
目・科・属 | バラ目・バラ科・サクラ属(スモモ亜属) |
学名・和名・英名 | Prunus armeniaca・杏(アンズ)・Apricot |
開花の季節 | 3月下旬から4月(収穫は6月下旬から7月中旬) |
原産地 | ヒマラヤ西部から中央アジア |
誕生花と名前の由来
杏の花が誕生花として当てられている日付はこちらになります。
2月23日、3月1日、4月12日、10月2日の誕生花
杏の花の名前の由来
- 「アンズ」という名前の由来は、諸説あります。
- 漢字の「杏子」の読みから
- 甘酢梅(アマスウメ)が転訛してアンズになった。
- 杏の漢字は、木から実(口)がぶら下がっている様子を表しています。
- 英名のapricotの由来は、ラテン語の「日が当たって(果実が)熟す」という意味の「apricus」が語源。
以上が、杏の花の名前の由来です。