小ぶりで凛とした表情が、見る者の心を和ませてくれる、なでしこの花。日本では、秋の七草のひとつとして、古くから人々に親しまれてきました。
このなでしこ、世界各地に300種ほどの仲間がいたことをご存知でしょうか。日本だけではなく、じつは世界中でも愛されてきた花だったのです。
この記事では世界中で愛される、なでしこの品種や花言葉をご紹介します。小ぶりで愛らしい花にふさわしく、花言葉にも清らかで愛らしいイメージが含まれていました。
なでしこ(撫子)の花言葉
さっそく花言葉をご紹介していきます。日本人女性の美しさを、大和撫子(やまとなでしこ)と呼ぶように、なでしこには女性をイメージさせる花言葉が多く見られます。
なでしこ(撫子・ダイアンサス)の花言葉一覧表
なでしこ全般の花言葉 | 無邪気・純愛・貞節・大胆・思慕 |
ピンクのなでしこ | 純愛・細やかな想い |
赤のなでしこ | 純粋で燃えるような愛・無垢で深い愛 |
白のなでしこ | 器用・才能 |
なでしこ全般の花言葉には、「純愛」や「思慕」といった花言葉が含まれています。可憐に咲く花のすがたに、ぴったりの花言葉だと思いませんか。また、なでしこは同じ品種でも、
- ピンク
- 紫
- 赤
- 白
などの、複数の色をもつ花もあります。ご紹介したものはごく一部ですが、より分かりやすいように、赤いなでしこと代表的な品種の花言葉を、それぞれご紹介しましょう。
情熱と刺激にあふれた花言葉のある「赤」のなでしこ!
可憐で愛らしいなでしこですが、赤いなでしこには「純粋で燃えるような愛」との花言葉が込められています。
見た目のつつましさに反して、意外な印象を受けませんか。赤のなでしこには、愛らしい印象とはひと味違う、情熱と刺激にあふれた花言葉が込められているのです。
なでしこ種の代表格、河原なでしこの花言葉
大和撫子(やまとなでしこ)や常夏(とこなつ)とも呼ばれる、河原なでしこ。先にご紹介したとおり、河原なでしこには「純愛」や「思慕」といった花言葉が込められています。
女性的なイメージの強い花言葉ですよね。河原なでしこは、清少納言の随筆『枕草子』にも登場します。白やピンクの花を咲かせる品種が一般的です。
男性的なイメージの強い、アメリカなでしこの花言葉
女性的なイメージの強い花言葉があるいっぽうで、アメリカなでしこには、「伊達男」や「義侠」といった、男性的なイメージの強い花言葉が含まれています。
河原なでしこの「純愛」や「思慕」といった花言葉と比較すると、その違いが一目瞭然ですよね。見た目の鮮やかさだけではなく、なでしこは多くの花言葉も楽しめる花なのです。
なでしこの花のオリジナルキャッチコピー
つつましさの奥に隠すのは、凛とした高貴な精神。
類似の花言葉を持つ花はこちら
4月/4月22日/4月25日/5月/5月29日/5月31日/6月/6月10日/7月/7月14日/7月15日/7月22日/7月28日/8月/8月11日/「愛」を意味する花言葉を持つ花/ピンク色の花言葉/プロポーズの時に用意したい花/友人の日頃のプレゼントに贈りたい花/恋人やパートナーに贈りたい花/演奏会や発表会に贈りたい花/白い花の花言葉/結婚式やセレモニーで使いたい花/赤い花の花言葉/野原で観察したい花/
なでしこの花言葉に関する逸話
古今の文学作品には、なでしこの花言葉をうかかがえる作品があります。その代表的な作品が『万葉集』と「グリム童話」です。
『万葉集』には、愛する女性への思いを「なでしこ」に託した大伴家持(おおとものやかもち)の歌をはじめとして、「なでしこ」の歌が26首も詠まれているといいます。
また西洋では、『なでしこ』というタイトルのついたグリム童話もあります。ある国の王子が、愛する女性をなでしこに変えて、王様の待つお城で結婚をするという話です。
時代や国は違っても、なでしこには愛する女性への思いが託されているのは共通しています。「純愛」や「思慕」といった花言葉がぴったりの逸話だと思いませんか。
なでしこの選び方のポイント
「純愛」「思慕」といった花言葉を含むなでしこは、大切な人のお祝いやプレゼント用として、幅広い用途に利用できる花です。
日ごろの感謝を伝える母の日の贈り物だったり、愛する人へのプロポーズに添える花だったり、友人の誕生日に送るギフトだったり。
花を選ぶ際は、ひまわりやガーベラといった大ぶりの花を入れてアクセントをつけると、なでしこがいっそう映えて、よりきれいに見えますよ。
●ピンクのなでしこ・・・「純愛」や「思慕」といった花言葉から、愛する人や友人に対して、日ごろの思いや感謝を伝えるのに最適な花といえます。
●赤いなでしこ・・・「燃えるような愛」という花言葉から、母の日のプレゼントや愛する人へ贈る花として使用すると効果的でしょう。
●白いなでしこ・・・「器用」や「才能」といった花言葉から、職人などの伝統的な専門職に就く人、高度な知識を有する教授やクリエイターの人への贈り物に最適でしょう。
なでしこの花を贈り物にする際に気をつけること
なでしこは、さまざまなシーンの贈り物に利用できる花です。ただし、花言葉には注意してください。品種によっては不吉な花言葉が含まれているからです。
花言葉が怖い、なでしこの品種は?
「シレネ」や「桜小町(さくらこまち)」といった花名でも販売される「虫取りなでしこ」。ヨーロッパ原産の一年草で、園芸用や日本の道端でも多く見られる品種です。
「虫取りなでしこ」の花名の由来は、花の下にある茎の部分から粘液を出すことから付けられています。そのため「罠」という不吉な花言葉が含まれているのです。
大切な人への贈り物が、相手を傷つけることにもなりかねません。花を選ぶ際は十分に注意しましょう。
白いカーネーションの花言葉とは?
母の日に贈る定番の花といえばカーネーションです。この花もナデシコの同じ仲間に属します。白いカーネーションには「私の愛情は生きている」という花言葉が含まれています。
つまり、亡くなった母に対する贈り物として適した花なのです。亡くなってもない母へ贈るのも失礼な話ですよね。プレゼントする際は、白いカーネーションは避けるのが無難です。
なでしこを購入する際に注意したいこと
なでしこの花を購入する際のポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
取り扱っている時期
なでしこの開花時期は、4月~8月が一般的です。したがって、市場に流通するのは、春から夏までの時期に集中しています。
もっともポピュラーな品種は、日本が原産とされる河原なでしこです。日本から古くから愛されてきた花なので、シーズン中は店頭にならぶ機会も多く見られるはずです。
なでしこの取り扱いに注意!
店頭で購入する際は、取り扱いには十分に注意してください。なでしこは茎の筋が折れやすい花です。持ち運ぶ際や移動の際には、あやまって茎を折らないように気をつけましょう。
用途や目的にあったお店選びを!
なでしこはギフトやプレゼント用にさまざまなアレンジがされています。たとえば、
- 生花
- アレンジメント
- プリザーブドフラワー
などに利用されています。購入する目的や用途にあわせて、生花店やネットショップなどで下調べしたうえで、最適な花を相手にプレゼントしましょう。
なでしこの花の保管方法
なでしこを生ける場合は、花全体に水分を十分に行き渡らせることが大切です。収穫した直後の切り花も、日数が経つとしおれやすくなるからです。
花のしおれを防ぐためには、毎日水を替えるとともに、入れ替えの際に、茎の吸水性をあげる「切り戻し」をおこなうと、水が全体に行き渡り、日持ちしやすくなります。
その際、水の中で茎を切るとより効果が期待できます。それでも花がしおれる場合は、日の当たらない暗い場所に移すといいでしょう。
参考URL:http://www.pref.nara.jp/30119.htm
なでしこの特徴や花の名の由来
なでしこの基本情報を以下にご紹介します。
基本情報
目・科・属 | ナデシコ目・ナデシコ科・ナデシコ属(ダイアンサス属) |
和名/英名 | なでしこ/Pink, Dianthus,Gillyflower |
開花時期 | 4月~8月 |
原産地 | アジア(河原なでしこ・せきちく)・ヨーロッパ(アメリカなでしこ・虫取りなでしこ) |
なでしこの誕生花
なでしこが誕生花としてあてられている日付は、おもに以下の通りです。
- 5月29日の誕生花 (せきちく)
- 6月11日の誕生花 (アメリカなでしこ)
- 4月22日・7月28日の誕生花 (虫取りなでしこ)
- 4月25日・5月31日・6月10日の誕生花 (美女なでしこ)
- 7月14日・7月15日・7月22日・8月11日の誕生花 (河原なでしこ)
- 1月11日・5月12日・5月15日・6月15日・11月20日(カーネーション)
なでしこの名前の由来とは?
なでしこの名前の由来は「撫でたくなるほど可愛らしい」という花の姿からとられています。
また日本の古い話に、なでしこを愛した子どもが不幸にして亡くなり、その死を悲しんだ親が、代わりに花を育てたことから、別名「形見草」とも呼ばれています。
ピンクの色名は、なでしこが語源!
なでしこの英名は「Pink」と呼ばれています。「pink」には「輝く目」との意味があるとされており、一説には、色名のピンクの語源になったとされます。
ピンクの色名は、なでしこの色に由来していたのです。また英名には、ガーリーフラワー(Gillyflower)といった別名もあります。
なでしこの学名の由来って?
なでしこの学名は「Dianthus(ダイアンサス)」と呼ばれています。ギリシア語で神を意味する「Dios」と、花を意味する「 anthos」があわさった語です。
それぞれ「ディオス」と「アントス」と読みます。「神聖な花」として知られており、ギリシャの植物学者・テオフラストゥスが命名したとされます。