春になると土の中から顔を出し、控えめな姿が可愛いムスカリ。その花の形がブドウの実のように見えることから「グレープ(ぶどう)ヒヤシンス」との別名があります。
ムスカリといえば青や紫の花のイメージがありますが、実は白やピンク、黄色などもあって、中にはほのかな甘い香りがする種類もあるんですよ。
そんなムスカリの花言葉には、ポジティブなものとネガティブなものが混在しており、贈るときはその意味を把握しておく必要があります。
今回は、ムスカリの花言葉と上手な贈り方、育て方のポイントなどをご紹介します。
ムスカリ(ルリムスカリ)の花の花言葉
ムスカリの花は「ルリムスカリ」ともいわれています。ムスカリの花言葉は、海外と日本では全く違うのですが、どのように違うのでしょうか?見ていくことにしましょう。
ムスカリの花言葉(日本と海外)
ムスカリの花言葉(日本) | 寛大な愛、明るい未来、通じ合う心 |
ムスカリの花言葉(海外) | 絶望、失望、失意、悲嘆、憂鬱 |
ムスカリには青や紫のほかにも、白やピンク、黄色なども存在しますが、色別の花言葉は見つかりませんでした。
ムスカリの花全般の花言葉は日本では「寛大な愛」「明るい未来」「通じ合う心」と実にポジティブな言葉が多いです。贈り物にぴったりですよね。
しかし、海外の花言葉となると全く逆で「絶望」「失望」「失意」「悲嘆」「憂鬱」といったネガティブな言葉になってしまうのです。
それでは、それぞれの花言葉がつけられた背景をお伝えしていきますね。
寛大な愛、明るい未来、通じ合う心の花言葉
寛大な愛
ムスカリはとても小さい花ですが、ブドウのような姿をしていることから、意外と目立つ存在です。
しかし春先に咲く、他の花たちを引き立てる役割もするので寄せ植えにすると素敵ですよね。
そんな優しく寛大なイメージから「寛大な愛」という花言葉がつけられたのではないでしょうか。
明るい未来
ムスカリは早春になると土の中から、ひっそりと控えめに姿を現します。小さいながらもその姿は輝いていて、生命力にあふれているのです。
そんなムスカリの姿は、明るい未来に導いているように見えます。そんなところから「明るい未来」という花言葉がついたと考えられます。
通じ合う心
ムスカリは同じ球根植物であるチューリップと、春先に寄り添うように咲き乱れます。
そのようなムスカリとチューリップとの関係が、阿吽の呼吸のように通じ合う心に繋がるのではないでしょうか。
「絶望」「失望」「失意」の花言葉
海外でのムスカリの花言葉は「絶望」「失望」「失意」といったネガティブな言葉ばかりです。それはなぜかというと、海外では青や紫の色はネガティブなイメージが強いんですね。
例えば、ヨーロッパでは休み明けで仕事が始まる月曜日のことを「ブルーマンデー」と呼びますし、はるか昔の遺跡では、埋葬花としてたむけられていたという由来もあります。
ネガティブな花言葉がつけられている「クロッカス」と「イトスギ」
ムスカリの場合は、ポジティブな花言葉とネガティブな花言葉が同居していますが、実は、同じようにネガティブでマイナスな意味の花言葉がつけられている花があります。
それが「クロッカス」と「イトスギ」です。クロッカスの花言葉は「裏切らないで」「イトスギの花言葉は「死」です。どちらもネガティブで怖い花言葉ですよね。
オリジナルキャッチコピー
瑞々しい葡萄のような花にこめられた光と影の表裏一体
類似の花言葉を持つ花はこちら
1月/1月30日/2月/2月21日/2月26日/2月2日/3月/3月5日/3月7日/4月/4月22日/4月26日/4月28日/「友情」を意味する花言葉を持つ花/「希望」を意味する花言葉を持つ花/「悲しい」意味の花言葉を持つ花/「愛」を意味する花言葉を持つ花/「絶望」を意味する花言葉を持つ花/ガーデニングに使いたい花/ピンク色の花言葉/友人の日頃のプレゼントに贈りたい花/恋人やパートナーに贈りたい花/白い花の花言葉/青い花の花言葉/
ムスカリの花言葉に関する逸話「ヒヤシンスの悲劇」
ムスカリの花は、海外の花言葉だとネガティブな言葉がつけられています。これは、ムスカリの近縁ともいわれている、ヒヤシンスのギリシャ神話から由来しています。
あるとき、美少年ヒュアキントスは、医学の神であるアポロンと仲睦まじく円盤投げをしていました。二人は愛し合っていたのです。
同様にヒュアキントスを愛していた西風の神ゼピュロスは、二人を見て嫉妬に狂ってしまい、円盤投げの邪魔をしようと意地悪な風を起こしました。
その結果、風向きが変わってしまったことで、あろうことかヒュアキントスの額に円盤が激突!大量の血を流して亡くなってしまったのです。
後にヒュアキントスが流した血から青紫の「ヒヤシンス」が生まれたとされています。
香りがするものも!ムスカリの種類とは?
ムスカリの種類は実にたくさんあり、毎年新しい品種が登場します。その色もさまざまで定番の青、紫から白やピンク、黄色まで多種多様です。どんな種類があるのか見ていきましょう。
定番の青いムスカリ「アルメニアカム」
ムスカリの中では大きな葉を持ち、もっともポピュラーな品種となります。深い海のような鮮やかなブルーが魅力的ですよね。日本では30年以上前から流通するようになった種類です。
芳醇な黄色のムスカリ「ゴールデンフレグランス」
ムスカリの中でも球根が大きく、色も珍しい黄色です。バナナのような甘い香りがするのが特徴です。見かけたらぜひ育ててみたい種類ですね。
可愛らしいピンクのムスカリ「ピンクサンライズ」
白に近い好き通るようなピンクの花を咲かせる、とても珍しいムスカリです。ムスカリは球根なので庭やプランターで楽しむことが多いですが、ピンクのかわいいムスカリは小さなブーケにして贈ってもいいですね。
白いムスカリ「ボトリオイデス・アルバ」
真っ白なムスカリはほかの花の引き立て役になるので、寛大な愛という花言葉にもぴったりですよね。耐寒性に優れているので、春先に明るい花色のチューリップと一緒に楽しみたい種類です。
花言葉を添えて!ムスカリのおしゃれな贈り方
ムスカリは草丈20cmほどのコンパクトな花なので、花束には向かないでしょう。そのため丈の短さを活かしたプレゼントの方法をご紹介します。
ムスカリとチューリップのテラリウムアレンジメント
ムスカリとチューリップの咲く時期はほとんど同じです。そのため、球根がついたままのムスカリと切り花のチューリップをテラリウムアレンジメントにすると素敵ですよ。
テラリウムアレンジメントの作り方
- きれいなガラス瓶に山ごけを薄く敷きます
- ムスカリの球根部分を山ごけで覆い、瓶の中に置きます
- 周りに山ごけをふんわりと入れて、お好みの花やハーブを間に挿します
- 水を与えるときは、山ごけの部分に霧吹きを使い水をかけてください
ムスカリを水栽培(ハイドロカルチャーで贈る)
ムスカリは秋頃に球根を土に植えて育てますが、その他にも水栽培(ハイドロカルチャー)という方法があります。
ムスカリの水栽培のやり方
- ムスカリの水栽培に適した時期は10月~11月です
- 透明な容器にハイドロボールを底から5cm以上入れます
- 球根の芽が上になるように置いて、周りに化粧砂などを入れます
- 球根は完全に隠れてしまうと腐ってしまうことがあるので、根が隠れる程度の深さに植えましょう。
テラリウムもハイドロカルチャーも、家の中の窓辺に置くと光を反射してとてもきれいです。ポジティブで明るい花言葉を添えて、贈ってみてくださいね。
球根だから簡単!ムスカリの育て方
ムスカリは一度植えると植えっぱなしにしても、翌年にどんどん花を咲かせる丈夫な花です。球根から育てるので、ガーデニング初心者さんでも簡単に育てられますよ。
それでは、球根を植える時期、水やりや肥料のやり方などをご紹介します。
ムスカリを植える時期と用土
ムスカリの球根を植える時期は9~10月です。市販の培養土か、赤玉土小粒7:腐葉土3の割合で配合した土を使いましょう。
ムスカリは酸性の土を嫌うので、庭植えの場合は2週間前に土を耕し苦土石灰を混ぜます。
ムスカリの球根の植え方
鉢植えも庭植えも球根は深さ3~5cmほどの深さに植えます。鉢植えの場合は4~6球まとめて植えるときれいに見えますよ。庭植えの場合は株間を15cmほど開けて植えましょう。
ムスカリの肥料と水やり
ムスカリを植え付けるときと、花が終わった後に緩効性化成肥料を与えましょう。花後に肥料を与えて球根を太らせると、翌年の花つきが良くなりますよ。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、花が終わった後の休眠期には水やりの必要はありません。
ムスカリの特徴や花の名前の意味・由来
それでは最後に、ムスカリの基本情報、名前の意味や由来をご紹介します。
基本情報
目・科・属 | キジカクシ目・キジカクシ科・ムスカリ属 |
和名・洋名 | ムスカリ、葡萄風信子(ぶどうひやしんす)・Grape hyacinth |
開花時期 | 3月~5月 |
原産地 | 地中海沿岸、南西アジア |
ムスカリが誕生花となっているのはいつ?
ムスカリが誕生花として当たられている日付は、1月30日、2月2日、2月21日、2月26日、3月5日、3月7日、3月11日、4月22日、4月26日、4月28日です。
ムスカリの名前の意味と由来は?洋名と和名
ムスカリという名前は、ギリシャ語のmoschos(ムスク)という語源に由来しています。
ムスクとは麝香(じゃこう)のことで、麝香とはオスのジャコウジカのお腹にある香嚢(こうのう)から取れる、分泌物を乾燥させたものです。
ムスクは独特の香りが強いもので、昔から異性を引きつけるフェロモンのような香りともいわれています。香水の材料にも使われていて、若干粉っぽい香りがします。
ただし、一般的に庭植えでよく見られるムスカリの花自体は、甘い香りなどはしないようです。香りがするのはゴールデンフレグランスです。
ムスカリの和名は「葡萄風信子(ぶどうひやしんす)」です。これはムスカリの姿形そのまま、ブドウのように見えるところからとヒヤシンスの近縁ということに由来されています。
また、ムスカリの洋名は「Grape hyacinth」といいますが、意味としては和名の葡萄風信子と同じですね。