花言葉

カキツバタ(燕子花・杜若)の花言葉の意味・由来・誕生花

初夏に紫や白の美しい花を群生させるカキツバタ。アヤメの仲間ですが、どちらがアヤメでどちらがカキツバタか、区別がつかない!という方が多いのではないでしょうか。

優劣つけがたいことの例えとして、”いずれ文目(あやめ)か杜若(かきつばた)”と言われるほど、昔から、両者を見分けるのは難しかったようです。

この記事では、そんなカキツバタの花言葉や特徴について述べながら、またその由来や逸話などもご紹介します。

カキツバタ(燕子花・杜若)の花言葉


それではさっそくカキツバタの花言葉を見ていきましょう。

カキツバタの代表的な花言葉は「幸運」「贈り物」

カキツバタの花全般の花言葉 幸運は必ず来る、幸運、幸福、幸せはあなたのもの、贈り物、雄弁、音信、気品

カキツバタの花全般をあらわす言葉には、「幸運」「贈り物」などがあります。

カキツバタの花のオリジナルキャッチコピー

翼広げて咲き誇る、幸福を連れた紫の燕

類似の花言葉を持つ花はこちら

4月/4月29日/5月/5月13日/7月/7月3日/「幸せ」を意味する花言葉を持つ花/白い花の花言葉/青い花の花言葉/

カキツバタの花言葉に関する逸話


カキツバタの花言葉の由来や逸話には、花の形から連想されたものと、カキツバタを使った創作に関するものがあります。

万葉集にも詠まれたカキツバタ(杜若)の花言葉の由来

カキツバタの「幸福」「贈り物」という意味の花言葉の由来の一つは、カキツバタの花の形です。

カキツバタは漢字で「燕子花」と書くように、ツバメに似ていると言われます。ツバメは「幸福」や「幸運」「商売繁盛」などのシンボルであることから、カキツバタの花言葉の由来になったとされています。

日本最古の歌集・万葉集には、カキツバタを詠んだ歌がいくつかありますが、その中のひとつに、恋人を待ちわびる切ない恋の歌があります。そこから、「待っていれば必ず幸福はやって来る」と願いが込められて、花言葉になったと言われています。

「住吉の 浅沢小野の かきつはた 衣に摺りつけ 着む日知らずも」作者不明 巻7-1361

この歌は、直訳では「住吉の浅沢小野に咲く美しいカキツバタ。そのカキツバタで着物を染めて着ることが出来るのは、いつのことだろうか」という意味です。

カキツバタ=恋人です。二人で一緒に衣を染められる日=一緒に暮らせる日はいつのことだろうか、という意味の歌です。

カキツバタと似た「アイリス」の見分け方と花言葉


カキツバタとよく似ているアヤメ、ハナショウブは、学名・英名共に「Iris」=「アイリス」と呼ばれる仲間です。アイリスの仲間の見分け方や花言葉について見て行きましょう。

「かきつばた(燕子花)」の特徴と見分け方のポイント

アイリスの仲間を見分けるポイントは、以下の4つになります。

  1. 開花期・・・早咲きは4月上旬から、遅咲きのものは5月下旬から咲きます。
  2. 生育環境・・・アヤメの仲間には、乾燥を好むものと湿地を好むものに分かれます。
  3. 花の特徴・・・ポイントは外花被片(垂れ下がった花弁)の根元部分の模様です。
  4. 草丈と花の大きさ・・・草丈、花の大きさ共に一番小ぶりなのがアヤメ、一番大きいのがハナショウブです。

「カキツバタ」の特徴
開花期:5~6月
花の特徴:外花被片の中央部に白い斑紋が入る。
葉の特徴:葉は幅広く、主脈は目立たない
生育環境:水辺や湿ったところを好む
草丈:50~70cm
花径:12~15cm
花色:濃い青、紫、白、青

「あやめ(文目)」の特徴と花言葉

アヤメは、外花被片に網目模様があり、乾いた場所に咲くのが特徴。

「アヤメ」の特徴
開花期:5月
花の特徴:外花被片の中央部に網目斑紋が入る。
葉の特徴:葉は細く、主脈は目立たない
生育環境:乾燥したところを好む。
草丈:30~60cm
花径:8cm
花色:紫、白

花言葉:優雅な心、嬉しい知らせ、神秘的な人

「はなしょうぶ(花菖蒲)」の特徴と花言葉

ハナショウブは、草姿の似た、サトイモ科の「ショウブ」と区別するために「ハナショウブ」と呼ばれます。

「ハナショウブ」の特徴
開花期:6月
花の特徴:外花被片の中央部に黄色い斑紋が入る。
葉の特徴:葉の主脈は中央にくっきりと現れる。
生育環境:湿地を好む
草丈:70~120cm
花径:15~25cm
花色:紫、白、桃、青、黄など多数。

花言葉:優しさ、信頼、優雅

素敵な花言葉を持つカキツバタを育ててみましょう


水辺に群生するカキツバタは気難しそうなイメージがありますが、意外にも初心者向きの育てやすい花です。

開花の時期

カキツバタの開花時期は、5~6月です。

カキツバタの育て方

●植付け
時期・・・苗の植え付けは、真夏か真冬以外ならいつでもOK。種蒔きは開花まで3年かかるので、苗で育てるのがおすすめ。
陽のよく当たる水辺に植えます。暑さ寒さには強く、雨や霜に当たっても大丈夫。鉢は水が溜まるものを準備。

●土・肥料
基本的にはどんな土でも大丈夫。初心者は市販の培養土を使うと簡単です。
植え付ける時は肥料を与えずに、完全に根が張ってから与えるようにしてください。秋の涼しくなった頃に、緩効性の肥料を、周りの土に埋める以外は、与える必要はありません。

●水やり
水やりをするのではなく、根元が水に浸かっている状態にします。冬に凍結しても問題ないですが、夏に水温が上がり過ぎたら、鉢は日向に置いたまま、水を替えて下さい。
鉢植え・・・鉢にたっぷりと水を入れて、水がなくならないように気を付けます。
地植え・・・水深5~15cmほどの水辺

カキツバタを育てるポイントは?

水は絶対に切らさないこと!

日陰で育てると生育が悪く、元気がなくなるので注意。

カキツバタを贈り物にする際の留意点


「幸福はあなたのもの」など、良い意味の花言葉を多く持つカキツバタは、贈る相手やシチュエーションを選ばない花です。

特に父の日や男性向けには、甘くなり過ぎないため、喜ばれます。カキツバタを贈りものにする際に留意する点を挙げます。

カキツバタの選び方と管理方法

カキツバタは、開花後にしぼみますので、蕾の状態の花を選びましょう。花の中に次の花芽が隠れているので、しぼんだ花を摘むと、2~3度花を楽しめます。

切り花で贈るのもいいですが、最近はインテリアにもなる、カキツバタの「苔玉」も人気上昇中です。水に浸けておくのも容易で、湿地を好む水生植物のカキツバタには適しています。

また、生態系を身近に感じられると話題の「ビオトープ」もおすすめ。水辺の植物と小さな生き物を育てて、生態系を再現したもので、小さな水鉢などであれば、贈り物にすることもできます。

カキツバタを贈るポイントは?

蕾の状態のお花を選ぶこと!

・水生植物なので、苔玉やビオトーブのキットなどもおすすめ。

文学、芸術の中のカキツバタ(燕子花、杜若)


カキツバタの逸話の項で、万葉集の中でカキツバタの登場する歌について述べました。

古来より日本人を魅了してきたカキツバタは、多くの芸術家の創作意欲を刺激し、文学や芸術、陶芸や漆器など、様々な作品のモチーフになって来ました。

「伊勢物語」に登場する在原業平の歌

「古今和歌集」「伊勢物語」には、在原業平がカキツバタについて詠んだ歌があります。この歌は、三河八橋(愛知県知立市)の無量寿寺で詠まれたとされ、ここからカキツバタは愛知県の花に選ばれました。

この歌は直接「カキツバタ」は出てきませんが、和歌の名手・業平らしく、言葉遊びが仕組まれており、句頭を並べてみると「カキツハタ」の文字が現れます。

から衣
きどつつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
たびをしぞ思ふ

尾形光琳の代表作・国宝「燕子花図」

江戸時代中期を代表する日本画家で、琳派最大の巨匠・尾形光琳。光琳の代表作のひとつに「燕子花図」屏風があります。

根津美術館所蔵の国宝で、光琳40代前半の作。この作品は、「伊勢物語」の第九段「八橋」の場面を描いた作品で、前述の業平の歌と同じ文学作品がモチーフとなっています。

「万葉集」に登場するカキツバタを詠んだ歌

日本最古の和歌集「万葉集」には、カキツバタを詠んだ歌が7首収められています。1首は逸話の項に書いた「住吉の 浅沢小野の かきつはた」という歌です。また、カキツバタを詠んだ「万葉集」の歌の中で一番有名な大伴家持の歌は、名前の由来の項で後述します。

古来よりカキツバタは、男女を問わず「美しい人」を表してきました。「美しい人=想い人」を恋しく思う気もちを詠んだ恋の歌が大半です。

カキツバタの特徴や英語名・花の名の由来


カキツバタの花の基本情報です。

基本情報

目・科・属 キジカクシゲ目・アヤメ科・アヤメ属
学名 Iris laevigata
和名 燕子花、杜若(とじゃく)、貌佳草(カオヨグサ)
英名 Rabbit-ear Iris、Shallow-flowered Iris
開花の季節 5月から6月(秋に咲くものもあり)
原産地 日本、中国、朝鮮半島、東シベリア

参考:Wikipedia カキツバタ より

誕生花と名前の由来

カキツバタの花が誕生花として当てられている日付はこちらになります。

4月29日、5月13日、7月3日の誕生花

カキツバタ(燕子花、杜若)の花の名前の由来

  • 「万葉集」では「カキツハタ」と清音で読まれ、語源は「掻きつけ花」が転訛したものとされます。「掻きつけ」とは、布の染め方の一種。「掻きつける=摺(擦)りつける」という意味で、古来、花の汁を布にこすりつけて、色を移し染めにしていたことを言います。
    「かきつはた 衣(きぬ)に摺(す)り付け ますらをの 着襲ひ(きそひ) 猟(かり)する 月は来にけり」万葉集 大伴家持
  • 「杜若(とじゃく)」は、本来「ヤブミョウガ」という別種の漢名でしたが、カキツバタと混同されたまま、定着して使用されたものと言われています。
  • 別名の「貌佳草(カオヨグサ)」(顔佳草)とは、花の美しい草の事で、カキツバタ以外にシャクヤクの別名でもあります。

以上が、カキツバタの花の名前の由来です。